************ 傲慢な私の右腕 ************



私は今ここで、落ちそうになる自分の体を右腕ひとつで支えている
指先を地に食い込ませ、必死で自らの重みを支えている
足元には何もない、私を支える地面がない
ただただぽっかりと闇だけが口をあけて待っている



まだ落ちるわけにはいかない
私は右腕に力をこめる
私のすがりつく地上には、まだあなたがいるのだから



だけど果てしない闇は私を誘って
もっとずっと楽な世界へと私を誘って
何も考えなくて良いと甘い言葉を重ねて



私は懸命にその誘惑に抗う
右腕にもっと力をこめて、あなたのいる地上にしがみついていたいと願い
私はその誘惑に抗う



ほらほら、もうすぐ楽になれるよ
その手を離してしまえばすぐだよ



その真っ暗な闇の中へ、取り込まれてしまいたいという欲望にかられ
しかし私の右腕は、それでも必死に地をつかんでいる



もしも私がこの闇の中へ堕ちてしまうときがくるとしたら
そのときはこの右腕を、あなたの側にいることを望む右腕を
左手で切り落として堕ちるから
自分の意志で、この右腕を
切り落としてでも堕ちるから



あなたのすむ地上の端に、傲慢な私の右腕がさがり
それだけは地面をつかんで離さない
あなたにはこの右腕を、傲慢な私の右腕を残してゆくから



そうしたらあなたは、この右腕を抱きしめてくれますか?


****************************************







BACK



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送