***************** 饗宴 *****************



“愛してる”って言ってほしい?



  手の届かぬものに手を伸ばす彼らに祝福を!
  永遠などというものに焦がれる彼らに祝福を!
  地表をはいずり、せめぎあい、
  愛を求める彼らに祝福を!饗宴を!狂乱を!



  その満たされぬ表情は、苦悶のいろとも見分けがつかない



  いつかその日がくれば、死人すら立ち上がり
  その手を空へと伸ばすのだろう
  生ける死者と死せる生者の狂宴に、祝福を!!



“愛してる”って言ってほしい?



  祝福を!饗宴を!切なる愛を!
  物狂おしいたましいに、愛を!!
  ありったけの愛を!!



ねぇ、“愛してる”って言ってほしい?



  ありったけの愛を!この身が食い尽くされようと
  やせた腕に、この肉がもぎ取られ、この血が吸い尽くされようと
  この身のすべてを、祝福へと変え、大地にふりそそげ
  ああ、せめて、せめて一滴の愛を地上に



ねぇ、ねぇ?“愛してる”って言ってあげればいいの?



  身をよじらせ、声を上げ、
  この叫びが誰かに届くのならば



届くのなら、届くのならあたしは叫ぶよ。叫ぶよ。
だから、苦しげな瞳を向けないで。



  そして地上に狂宴を、一滴の祝福を
  たったひとすじの光を求めるその手は
  その手は虚空へと



足りないの?ねぇ、足りないの?
あたしの“あいしてる”じゃ足りないの?
あたしのすべてを、あたしをつくるひとつひとつを
みんなみんな、声へとかえて
そして叫んでも、それでも足りないの?



  世界に祝福を
  地上に宴を
  ひしめく生けるものに
  死せるものに
  たったひとしずく






だけど、言葉なら、いくらでも消費できるわ






  せめて、せめて、ひとしずくの愛を彼らに!
  やすらかに眠れるのなら、せめてひとしずく



何度でも、何度でも言ってあげるよ。
“愛してる”。あいしてるのよ。
何度でも言うから。血を吐くまで叫ぶから。
だから苦しげな瞳を向けないで。



  ひとしずくの光を奪い合い、せめぎあう
  おたがいの血を流し合い、そのぬくもりにも気づかない
  地上にしみわたる、涙の価値すら



  彼らに、祝福を!!



ねぇ。ねぇ“愛してる”って言ってほしいの?
いくらでもあるよ。ここにならいくらでもある。
あたしの中に、いくらでも流れているのよ。
言葉だったら、いくらでもあるのよ。
何度だって言える、“愛してる”って。
何度だって、世界中に言えるよ。だから。



あいしてるの。あいしてるのよ。



  彼らに祝福を!
  手の届かぬものに手を伸ばす、彼らに大いなる祝福を!!



“愛してる”って言ってほしい?


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